ES細胞から血糖値下げる細胞作製。今後の臨床研究と補償責任について

中日新聞 中日メディカルサイトが、胚性幹細胞(ES細胞)から、熊本大などのチームが、生体の膵臓(すいぞう)の細胞とほぼ同じ能力を持つ細胞を効率良く作ることにマウスで成功したと、熊本大などのチームが15日付の米科学誌電子版に発表したと報じています。
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20131216063026927

作った細胞を糖尿病のマウスに移植すると、血糖値がほぼ正常血に下がった事で、熊本大の粂昭苑教条は人への応用を目指したいとしているそうです。

現在、糖尿病の患者は「糖尿病が強く疑われる人」の890万人と「糖尿病の可能性を否定できない人」の1,320万人を合わせると、全国に2,210万人いると推定されています。
そのうちで、糖尿病が強く疑われる人の890万人のうち約4割は治療をまったくいけていないと言われています。
糖尿病は、はじめは自覚症状がないからでしょうね。

では、糖尿病で亡くなられる方はどのくらいいるのでしょうか?

糖尿病で亡くなられる方は、年間で1万4千人くらい(平成19年人口動態統計)。
また、合併症の糖尿病による腎臓障害で人工透析を始める人は、年間1万5千人、糖尿病が原因の視覚障害の発生は年間約3,000人。

思っている以上に患者数が多くないでしょうか?

熊本大の粂昭苑教授がされているような研究が早く実用化される事 を期待したいですね。

さて、では、医療関係者向けに、これら臨床研究に関する補償責任についても、少し解説いたします。

まず、通常の臨床研究ですが、「臨床研究に関する倫理指針」が改正され、平成21年4月1日から施行されています。
この指針改正に伴い、研究者の責務等が明確化され、臨床研究登録データベース(UMIN等)への 登録や一部臨床研究における保険その他の必要な措置を講じることが義務化されています。
http://bigonefps.com/content/clinical.html

この指針改正があった事で、保険会社も医療行為と臨床研究の補償の線引きを明確化したため、研究者は、それぞれ別の補償を用意しなくてはいけなくなりました。

これについては、従来の医師賠償責任保険ですべて補償されると考えられている研究者もいらっしゃいますので、注意が必要です。

では、臨床研究用の補償を保険会社に手配していれば、IPS細胞をもちいた臨床研究も補償されるのでしょうか?

実は保険会社の商品は倫理指針に基づいて設計されているため、平成18年に別の指針がだされているIPS細胞をもちいた臨床研究には、また、別の補償が必要になるのです。

ややこしいですね。では、IPS細胞をもちいた臨床研究も補償が義務化されているのでしょうか?

答えはイエスです。
ヒト幹細胞も用いる臨床研究に関する指針
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/iryousaisei01/pdf/01.pdf

この中の第2章の第1の3の(6)の⑯に
「ヒト幹細胞臨床研究に伴い被験者に生じた健康被害の補償のために必要な措置」を実施計画書に記載しなければいけないとなっており、

「必要な措置」とは何かについては

厚生労働省HPのQ&Aに以下の通り回答が記載されています。

第1の3(6)⑯ 「ヒト幹細胞臨床研究に伴い被験者に生じた健康被害の補償のた
めの必要な措置」とあるが、
「臨床研究に関する倫理指針」(改訂)についてのQ&A(平成21年6月12日版)におけるA2-4のとおり、
医薬品企業法務研究会(医法研)が平成11年3月16日に公開した「医法研補償のガイドライン」程度の補償内容であれば問題ないと考えて良いか。

「医法研補償のガイドライン」程度の補償内容であれば問題ありません。当該ガイドライン1-5には
「補償内容は「医療費」「医療手当」及び「補償金」とする」と規定されていますが、本指針が求めている補償内容は「一定水準を超える健康被害(死亡又は重度障害)について救済を行う」ための補償金です。
しかし、ヒト幹細胞臨床研究では、特殊疾病の治療を目的としてヒト幹細胞等を移植又は投与される場合など、補償保険が設定できない場合も想定されることから、このような場合については次善策として医療費あるいは
医療手当を用いることも適当であると考えます。
具体的に補償保険が設定できるかは補償保険を取り扱っている保険会社に御照会ください。
補償保険が設定できない場合に、医療費又は医療手当を用いた補償措置を検討する際には医法研の給付水準を参考にしてください。
なお、研究の内容によっては、補償保険が設定できず、さらに医療費あるいは医療手当の支給も困難である場合もあり得ると考えますが、そのような場合には、補償保険商品を設定できないことを確認した上で、次善策である医療費あるいは医療手当の支給も困難である理由について、倫理審査
委員会で審査を受けた上で、被験者等からインフォームド・コンセントを得ることが必要だと考ます。

となっているのです。

ヒト幹細胞も用いた臨床研究を行うにあたっての、周辺の環境を整え、研究者が安心して研究できる体制がもっと整う事を期待したいですね。

お問い合わせはこちら
https://bigonefps.com/secure/index.html

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック